俺は消耗品じゃないジャンクロード・ヴァンダムだ!「エクスペンダブルズ2」における悪役論。
そろそろ「エクスペンダブルズ2」の話をします。
筋肉アクション映画や、ヒーロー映画、はたまたスパイ映画で、作品の面白さを決める要素は何かと考えたとき、考えられる大きな要素のひとつに「誰を敵するか」という問題があります。
「敵が何故主人公達と敵対するのか」「敵がどういう理由をもって一般的に社会では悪事と呼ばれることを働くのか」ということを観ている人に伝える とうことは大切です。007など、その時代ごとに観客が納得できる敵役を登場させました。(例えば、冷戦時代なら、ソ連。イラク戦争時はテロ組織など。) 敵役に、どういう背景があって、いったいどんな動機を持って、悪事を働いているのかということは、敵味方が存在する映画において欠かせない要素であります し、観客にとっては楽しみのひとつでもあります。
「ダークナイト」のジョーカーは今までになかった悪役として“カリスマ的魅力”を放ち、主人公であるバットマンの存在すらも超えるものになりまし た。人の本質は悪だと証明するために、人を試すような悪事を働き、これまでにない悪役として評価されました。「ダークナイト」は全米で大ヒットとなり、ア カデミー賞の仕組みを変えるほどの映画になりました。
今回のエクスペンダブルズ2の敵役の動機は「金」です。“ソ連軍の遺産である「プルトニウム」をテロ組織に売って一儲け”なんて理由だったと思います。全然目新しくない…でも、今回の敵って超!魅力的じゃないですか。
それも、そのはずジャン=クロード・ヴァンダムが演じているからです。ヴァン・ダムは『その男ヴァン・ダム』でも自虐的に自分で語ってますが、落 ちぶれた映画俳優じゃないですか(失礼!)。というか、自分で自虐的に語っているということは自信を喪失してしまい自暴自棄になっている。金を生み出さな ければ、用済みというのを経験した彼は、凄まじく人間不信になってしまっているに違いない!「世の中結局金か!」と。
そう、ヴァン・ダムの中には「金を憎むがゆえに執着する心」が生まれていたに違いないと想像できるのです(無理やり)。
そして、ヴァンダムとスタローンの一騎打ちを観ながら観客は思うのです。「スタローン!ヴァンダムの中の弱いヴァン・ダム、お金に執着するヴァ ン・ダムを殺してあげて!」と。そして、スタローンはきっちり殺します。そうこれは敵役で「エクスペンダブルズ2」という映画に登場させたことによって、今 までの弱いヴァンダムを殺したというメタ的な2重構造になっているのです。(なっなんだってー)
メタ要素で敵役を魅力的にするというアプローチは、正直盲点だったので、目からウロコでした。いや、ちゃんとそこに論理的(だから無理やり)理由があるからこそ、映画は2重にも3重にも面白くなるわけです。
メタ要素といえば、チャック・ノリスの登場も凄まじかった。彼のメタ要素の使い方は、またヴァン・ダムと違って、チャックノリスファクトという、 全世界でささやかれる神をも超える彼の事実を映画の中で上手く使っていて、「上手いなぁ」と思いましたよ。あんだけ大仰な演出をして、チャック・ノリスだ からって理由で片付くのが本当にすごい。(何であの装備で戦車がふっと…おっと誰か来たようだ)
木曜洋画劇場CM プレジデントマン-地獄のステルスコマンド-
そして、ブルース・ウィルスとシュバルツネッガーもクライマックスで大活躍するし、全てのキャストがそれぞれ不可分なく描かれていたと思います。退部したジェットリー含め。
結局何が言いかったのかというと、メタ要素があれば、キャラクター(敵)に説得力を持たせられ、魅力的に見えるっていいたかったのと、これだけのキャストを集めたスタローンはやっぱりスーパーおじいちゃんだねっていうことです。以上!