チキチキ!火種だらけの映画評

映画のネタバレ記事が多いと思います。私の映画の趣味をやさしい人は“濃い”といいます。

「26世紀青年」というバカすぎるブラックコメディ映画を観たよ!

初めに言っておきます。この映画。クソ面白ぇから絶対観たほうがいい!


<あらすじ>
アメリカの軍隊に、とても平均的な男がいた。彼の名前はジョー。彼は誰も来ない軍隊の資料室で、テレビを観るだけの毎日を過ごしていた。そんなあ る日、そこからの移動を言い渡される。「僕は、今の仕事に満足しています。何も考えなくていいから!天職です!だからお願いします。この仕事を続けさせ て!」と必死に食い下がるが、「お前は、指示するか、従うかで、従うしか選択できない人間だ」と上司に諭され(脅され)、渋々と了承する。

実は彼、人工冬眠の実験体に 選ばれていた。
彼と共に選ばれていたのが風俗嬢のリザ。だいぶ、ふざけている。そしてジョーは彼女と共に永い眠りについた。


そして500年の月日が経った。

計画の責任者は、リザの彼氏である売春の元締めとの関係が問題となり、軍を追い出されていた。その結果、計画は頓挫、彼らは500年ものあいだ眠りについていたのだ。
彼らが目覚めた500年後世界、そこは「バカ」が世の中を支配する世界だった。

<とりあえず、どれくらいの「バカ」か、を説明しておいたほうがいいと思うので。>
アカデミー作品賞の大人気映画「ASS」
英語の勉強です。「ASS」って何ですか?正解はお尻、お尻の穴ですね。そう、ただただお尻が映っているだけの映画です。たまにオナラもでるよ! そして、未来のアメリカ人は皆、大爆笑!

映画館では「ASS」が大人気だけど、ドラマでは何が流行りか?だって。お前、知らないのか?「タマが痛ぇ!」を ただ、ひたすら金マを蹴り上げられるあの伝説の番組を!
大統領がプロレスラーで、AV男優。
大統領が明らかに気に入ってつれてきた巨乳の姉ちゃんとか、自分の弟で構成されている内閣。「お友達内閣」処の騒ぎではない。
農作物が育たない?ああ、そうだろうな。
未来社会には「水」が存在する。でもな、その「水」俺らが知っている水じゃないんだ。どう考えても、その「水」はゲーターレイドなんだ。俺らが 知っている水は既に飲み水ではなく、トイレを流すだけの存在に成り下がっている。人間にとってスポーツドリンクは体にいいから、植物にも皆大好きゲーター レイドやろうぜ!って理屈で農作物にゲーターレイドやっていたら、それに含まれる塩が土を駄目にした。その結果、砂漠化も進む。そんな世界。


<どうしてこうなった。>
頭が悪い奴はいっぱいSEXをして、ぽこぽこ子供をつくる。
この映画では二組のカップルを例に挙げ説明しています。一組は高学歴で高収入のカップル「子供はまだ作れないわね」と子供を作るのに慎重なようだ。もう一方のカップルは、低学歴で低所得。やりまくりで避妊しないから、ぼこぼこ子供が出来る。旦那は浮気して、外でも子供を作る。結局、高学歴カップ ルは子供を作らずじまいで、低学歴カップルはぼこぼこ子供を作る。この構造が500年続いた結果、世の中にはバカしかいなくなりましたとさ。


<コメディだけど、笑えない話>
「アイアンスカイ」という映画があった。アレはナチスが月から攻めてくる。というトンでも映画だった。アメリカの大統領が、ナチスの考え方に『そ れいいわね!採用。』といってしまうなど、アメリカの共和党と共和党支持者が、ファシズムと親和してしまっている描写が笑えるけど、笑えなかった。

イラク 戦争を仕掛けたブッシュ政権が、戦争を人気取りにしていた事実と、リンクするからだ。戦争や国同士の腹の探りあいを続けた結果、世界がどうなるかまで描く 良作だった。
アイアンスカイと同じ恐さがこの映画にはある。アメリカの地方都市ではイラク戦争から何年も経った後でも「イラクが911を起こした犯人だ」と 思っている奴が沢山いたらしい。※

彼らは生活に密着したローカルな情報しか必要とせず、生活に必要のないものや、自分の興味のないもの、ファッションやス ポーツのこと以外は情報を仕入れない。※

テレビをつければ、フォックスニュースばかりを観ていて、ブッシュに肩入れし情報操作された情報を鵜呑みにする (フォックスグループは、そういう取引をしているマジで)。この映画で描かれたことの予兆はアメリカの各地で起こっているのだ。何てことだ!洒落にならな い。
<でも、この「26世紀青年」って20世紀フォックスの映画じゃないですか、ヤダー>
フォックスのグループ会社の社員さん、おっすおっす!素敵な邦題ありがとう。「イデオクラシー」って本当の名前はバカを意味する単語+デモクラ シー(民主主義)という、とても気の利いた題名なんだけどね。映画の中でフォックスニュース流したのが不味かったの?キャスターをマッチョと、AV女優し たのが不味かったの?死刑映像を放送するのが不味かったの?※だから、お蔵入りになりかけたの?宣伝写真2枚しかないの?

何これひどい笑えない。

 

<バカばかりの世界にならないためには、どうすればいいの!>

この映画は解決策も示している。根本的な話だ。「本を読め!難しい話をしろ!自分で考えろ!」コレが全てである。この映画に登場するバカは主人公が何か少しでも難しいことを言おうとすると「女みてぇにグダグダ言ってんじゃねぇよ!」という。難しいこと=かっこわるい事なのだ。でも、そういう風潮って日本でも結構ある気がする。ガリ勉とか人をバカにしたり、難しいことを考えている人は話が面白くないって言ったり、そういう風潮ってない?自分の周りでも。

ブッシュは大統領選挙でそれをやった。その風潮をフォックスグループのテレビに乗せて振りまいた。その結果がイラク戦争だよ。(オバマの時代にそんな古い話をするなって言うかもしれないけど)※

この映画は「本を読め!難しい話をしろ!自分で考えろ!」と主人公のジョーは言う。彼も何も考えず、テレビを観続け、テレビの言うことだけを信じる存在だった。一般的アメリカ人だった。でも、彼はその行為の行き着く先を見た。だから言う。

「本を読め!難しい話をしろ!自分で考えろ!」と。

 

※この記事はだいぶ町山智浩氏のポットキャストを参考にしております。ホントだいぶ。