チキチキ!火種だらけの映画評

映画のネタバレ記事が多いと思います。私の映画の趣味をやさしい人は“濃い”といいます。

観れば、男のレベルが上がる?女のレベルが上がる?“タイタニックキャスト”で話題の「レボリューショナリー・ロード」を観て結婚について考える。

結婚って何だ?ウィキペディア先生によると、


「夫婦になること」
「社会的に承認された、継続された共同体をつくることを目的とする契約」

ということらしい。

 


REVOLUTIONARY ROAD Trailer #2 (Leonardo DiCaprio, Kate Winslet)


今回は「タイタニック」カップルとして有名なレオナルド・デカプリオ&ケイト・ウィンスレットが主演している。「もし、タイタニック号が氷山にぶつからず、二人が生き残った先が観れるんじゃないか」という妄想を書き立てるキャストだ。

しかしその内容は


パッケージを観ると、「誰も逃れられない運命の愛」なんて書いているから、「素晴らしい結婚生活が描かれるのか!」と思ったのに、全く描かれていないじゃないか。

タイタニックを観て、この映画を観たカップル談)


とクレームがきそうな恋愛の、結婚のダークサイドが描かれた映画なのだ。

(なっなんだってー)

この映画大体“夫婦喧嘩”で構成されている。

夫婦喧嘩は「社会的に承認された、継続された共同体をつくることを目的とする契約」が破棄される危機である。

1950年代の戦後アメリカは「幸せの家庭」で溢れていた。この映画の主人公夫婦はレボリューショナリー・ロードにすんでいる。

子供は女の子と男 の子の二人、郊外の庭付きの一戸建て、旦那は都会の大企業勤め、奥さんは子供の面倒と庭弄り、週末は家族でリゾートへ旅行、絵に描いたような「幸せな家 庭」だ。

 

そんななんの不満のないような「幸せな家庭」「タイタニックカップル」が、この映画で描かれているのだが、不思議なことに気づく。子供たちの存在が希薄なのだ。

子供たちの存在は希薄な理由なのは、彼ら夫婦にとっては「子供が本当はいらないもの」だから…。(不穏)


映画を観ているとわかるのだけれども、彼ら夫婦にとって「幸せな家庭」は彼らの本当の生活でない。

男が“夢”を語ることで、その可能性に女は共感する。この恋愛の始まりは世の中にありふれている。彼ら夫婦の場合もそうだった。


やがて、その男の“夢”はその女の“夢”となった。彼らは恋愛関係になり、“子供”が出来た。“子供”が出来た結果、“夢”ではなく、“生活”をとらなければならなくなった。

「幸せな家庭」は彼らが望んだ「本当の生活」ではない。妥協だ。

その妥協が「社会的に承認された、継続された共同体をつくることを目的とする契約」である「結婚」なのか…?
そもそも、私は彼の“夢”に共感して、夫婦になったんじゃないのか…?


と奥さん(ケイト・ウィスレット)は考え出す。そして、彼女は当初の目的を果たすために、旦那(デカプリオ)に提案する。
「私達が“夢”をかなえられる場所、パリへいきましょう」

その言葉を聞いたとき、今まで不満そうな顔をしていた自分の奥さんの目が輝いた。彼は荒唐無稽な計画に思えたが、「アイツがそれで満足するなら」と賛成した。
一見すると夫婦の夢をかなえるために行動しだす素晴らしいシーンだ。しかし、この“夢”は結局、叶わない。3人目の子供を彼女が妊娠したのだ。

 

「中絶したい…。」
ケイト・ウィンスレットは堰を切ったように話し出す。
「中絶して“夢”をかなえたい」

デカプリオは言う。
「頭がおかしいのか。そもそも“夢”って何だ。結局ここから逃げ出したいだけだろう。」

奥さんは気づいた。この人は“夢”なんてないんだ。私は空手形を掴まされたんだ。私はこの人を愛していないんだ。

と、このように夫婦生活の闇の部分を見せてくれる。

レオナルド・デカプリオ演じる旦那が「自分のことを棚にあげた論理」で攻めたと思うと、ケン ト・ウィスレットがヒステリーのように叫ぶ。とても面倒くさい。

僕もはじめはニヤニヤ観ていたのだけど、居た堪れなくなって、最後は震えて観ていた。

この映画の最後に夫婦を、「社会的に承認された、継続された共同体をつくることを目的とする契約」を長続きさせる秘訣を教えてくれるシーンがある。


タイタニックカップルに家を紹介した不動産屋さんの老夫婦だ。
「いい夫婦だったけど、パリに行くとかわけのわからないことを言ったり、迷惑な夫婦だったわ!だいたいあの旦那…」
奥さんが話す横で、旦那はそっと補聴器の音量を下げる。

…結局、妥協かよ。