【どうしてこうなった】『メン・イン・ブラック』が面白かったのに、『メン・イン・ブラック2』がとてもツマラナイ理由を考えてみた【後編】
【前編】では、『メン・イン・ブラック』の面白さの構造についてお話しました。
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まだお読みでない方は上記の記事を先にお読みください。
とりあえず、今回の本題の『メン・イン・ブラック2』の予告編をどうぞ。
では、本題に入ります。何故、『メン・イン・ブラック2』はツマラナイのか。
その原因は
①“トミー・リー・ジョーンズとウィル・スミスの役割を交代させたこと”
②“それによって「トミー・リー・ジョーンズ力」と「ウィル・スミス力」に中途半端さが生まれてしまったこと”
この二つです。
要するに『メン・イン・ブラック2』は中途半端な映画なのです。
『メン・イン・ブラック』の5年後に公開された『メン・イン・ブラック2』は、現実と同じ時間軸の5年後の物語です。
『メン・イン・ブラック』のラストでウィル・スミス演じるJは一人前になり、Kは記憶を消され引退します。
これにより、『メン・イン・ブラック』の面白さの方程式が崩れてしまいます。
そのまま終わる分には全く問題がないのですが、続編を作る場合それを一から作り直さなければならないのです。
「トミー・リー・ジョーンズ力」をウィル・スミスが担うと「バカバカしい都市伝説によって成り立つ世界観」が本当にバカバカしい虚実にしか見えない
『メン・イン・ブラック2』の物語が始まった時点では、
トミー・リー・ジョーンズがいないので「トミー・リー・ジョーンズ力」の拠り所はウィル・スミスです。
しかし、「トミー・リー・ジョーンズ力」は、トミー・リー・ジョーンズという異物だから成立するわけです。
ウィル・スミスが5年間という期間で成長したとしても、『トミー・リー・ジョーンズ力』を発揮できるほどの異物ではありません。
だから、物語の前半は「バカバカしい都市伝説によって成り立つ世界観」が本当にバカバカしい虚実にしか見えないのです。
「ウィル・スミス力」をトミー・リー・ジョーンズが担うと「バカバカしい都市伝説によって成り立つ世界観」が本当にバカバカしい虚実にしか見えない
物語の後半になって前作のラストで記憶を消されたトミー・リー・ジョーンズが組織に帰って来るわけですが、彼には「ウィル・スミス力」を担えません。
トミー・リー・ジョーンズが本来この作品に相容れない異物であるということが「ウィル・スミス力」を発揮することを許さないのです。
逆にそれを利用して、記憶が戻るまで何を見ても、「バカバカしい都市伝説によって成り立つ世界観」を受け入れないという設定にすれば、違和感なく成立したかもしれません。
しかし、今回は無理やり彼に「ウィル・スミス力」を発揮する役割を与えてしまいました。
一作目の試験シーンのような「ウィル・スミス力」を発揮する適正があるという説明するシーンもありません。 何の説明もないまま、物語は進み、気づけば記憶が戻り終わっています。
纏めます。
『メン・イン・ブラック』よさは
1.「トミー・リー・ジョーンズ力」によって「バカバカしい都市伝説によって成り立つ世界観」にリアリティを持たせる。
2.「ウィル・スミス力」によって「バカバカしい都市伝説によって成り立つ世界観」を観る人が受け入れる下地を作る。
この両面からのアプローチによって『メン・イン・ブラック』の面白さは構成されています。
「未来の可能性への期待感」という新たな面白さを生み出すために、ラストでは『メン・イン・ブラック』の面白さを作る、その構造を壊しました。
『メン・イン・ブラック2』という続編を作るにあたって壊したものを再構成しました。
しかし、その再構成はトミー・リー・ジョーンズとウィル・スミスの役割を交代させるというものであり、結果として、「トミー・リー・ジョーンズ力」と「ウィル・スミス力」に中途半端さが生まれてしまいました。
これによって『メン・イン・ブラック2』は中途半端になり、面白くなくなってしまったのです。
以上が、『メン・イン・ブラック2』がツマラナイ理由です。いかがでしたでしょうか。
全く需要がなさそうな記事を書いていて結構虚しくなっているんですが、
個人的には、「続編で面白くなくなる理由は何なのか」をつかめた気もするので大満足です。
(続編で成功しているのは「ムカデ人間2」だと全力で豪語したい。ムカデ人間2は「持ってない人間が夢を叶える」映画だ!を読めばそれがわかるはず。)
また、『メン・イン・ブラック3』を観たら記事を書こうと思いますので、その時は宜しくどうぞ。