チキチキ!火種だらけの映画評

映画のネタバレ記事が多いと思います。私の映画の趣味をやさしい人は“濃い”といいます。

ムカデ人間2は「持ってない人間が夢を叶える」映画だ!

いつも私のツマラナイ映画の感想を、一生懸命聞いてくれる仏のような奴に、この映画の感想を語ったとき、「お前の話を聞いていて気分が悪くなってきた。こ の映画を観る人間の倫理観と道徳観を疑うし、喜々として語るお前もどうかと思う。」と言われたぐらいなので、倫理とか、風紀とか、道徳とかにうるさい人は 引き返して。


映画と現実を混同して(悪いほうに)考えて、ドン引きしたり、最悪の場合怒り出したりする人も帰ったほうがいいです(。・ω・。)ノ~☆
もうこれだけ言ったらいいよね。


映画『ムカデ人間2』予告編
人間の口と肛門をつなぎ合わせた“ムカデ人間”を作ったマッドサイエンティストを描いた前作の「ムカデ人間」。「こんな映画が世に出て大丈夫なの か」「人の道を踏み外しすぎている」と、鑑賞したものは、皆、思っただろう。

しかし、一部では「マッドサイエンティストがカッコイイ、俺もやりたい」とい うトンデモナイ熱狂的なファンも存在した。そんな熱狂的なファンの一人が今作の主人公のマーティンだ。マーティンは地下駐車場で警備員として働きながら、 パソコンで「ムカデ人間」を観るのが日課だった。お気に入りのシーンになると、おもむろに紙やすりを取り出し、自慰行為にふけるのだった。


おいおい、ちょっと待て、しれっと書いたけど、自慰行為に紙やすりは使わないだろヾ(--;)、まぁ観た時、マジかッ!と思いますわな。あっ!こ れジャブだから。まだ俺、読んでる人に気を使ってるから。

しかも、チビでデブでメガネで、禿たオッサンだからねマーティン。

でも、彼がこんな人になってし まったのにも理由があって父親から小さな頃から性的な虐待を受け続けて、最終的には父親は捕まったのだけれども、今日の今日まで同居する母親に「アンタの せいで父親は捕まった、どうしてくれる」と理不尽に罵られてきた訳だ。

性的虐待を受けた人間は自分の性器を傷つける傾向にあるのだそう(作中で語られる が、事実かは知らん)、そんな理由で精神に異常をきたしてしまっている。さらに喘息持ちで体は弱く、父親が捕まっており、自分もまともな仕事に就けないので、金もない。

 

何が言いたいのかというと、彼は最下層の人間な訳だ。


そんな最下層で、夢も希望も持てない生活のなかで、彼の心を揺さぶるものがあった。「ムカデ人間」だ。「ムカデ人間」だけが、彼の生きがいで、楽 しみだった。映画を観るだけでは飽きたらず場面写真や記事をまとめたスクラップ・ブックを常に持ち歩き、暇さえあればそれを眺めてほくそ笑んでいた。いつ しか彼は「自分もムカデ人間を作りたい」と思うようになった。


まぁ、その後、地下駐車場で拉致った人をムカデ人間に仕立て上げていくわけですが、拉致のシーンで、マーティンは喘息持ちで体は弱いし、デブで、 チビで、気持ちの悪いおっさんだから、意味もなく見下されるんですよ(ノд-。)。最下層の人間相手と調子にのった奴らはマーティンを罵るんですな。母親 と同じように。母親は母親でマーティンのムカデ人間スクラップを見つけると、「こんなもん見やがって(`Д´) ムキー!」と罵り、全てを破りさるんですわ。


正直、「ムカデ人間」のコンセプトには「うわッひどッ!!」という姿勢な私ですが、こんなに虐げられてきたマーティンがはじめて心から愛し、没頭 できたものを蔑ろにするなんて「お前ら!人間としてどうなんだ!道徳とか倫理って言葉知ってんのか!」と思うわけですよ。

 

そして人を見た目で判断し、キモ いだとか、存在が犯罪者だ!なんていう奴は、「外道の極みだろ!」、そんな奴は万死に値する!


そんな感じでその後の残虐展開に目を覆いながらも、本当に辛い思いをしながらも、本当に辛い思いをしながらも、マーティンに付き合ってあげること ができたんですわ。一生懸命、ムカデ人間作っとりましたわ(ノω・、)外科医の知識がなかったから、とても試行錯誤して、自分なりの工夫をして、やっと出 来上がったムカデ人間を見たときは「よかったね!夢が叶った(/_<。)」と思えた(まぁ、マーティンの試行錯誤は恐いを通りこして、可愛いかっ た。陰惨なシーンで首謀者の彼の存在が救いという謎の展開)。


あと、「人が本気で命の危険を感じたとき、他人の命なんて本当にどうでもよくなる」という被害者目線のドラマもあったし、近頃の「他人の迷惑を顧みず行動した、自分の自分本位さ」に嫌気がさしていた自分はどこか救われた気がしたんだ…(ρ_;)・・・・


この映画は、ほんとうに、どうしようもない映画だけど、先人達の映画の歴史を引き継いでるし、監督もキャストも一生懸命に考えてる。その上で、 「誰からも褒められないようなもの」を作っている。その理由は自分が「好きだ」と思えるという一点のみ。ぶっちゃけ、その自分を貫く姿勢は卑下しちゃいけ ないし、この映画に残念なことに救われちゃった俺ぐらいは全力で堂々と褒めとこうと思う。